昨今の情報社会の進展に伴い,電気通信設備に接続される端末は, 音声で互いに通信を行うための電話機・交換装置だけでなく, データ通信を行うためのコンピュータ,パソコンなど多岐にわたってきています。
特に,従来のアナログ電話回線を用いたADSL技術が導入された結果, インターネット利用が急速に普及し,接続される機器の種類は大幅に変化しています。 この状況に伴い,工事担任者に必要とされる基礎的な技術も変化してきています。
一方,電気通信事業法では「利用者は,端末設備又は自営電気通信設備を接続するときは, 工事担任者資格者証の交付を受けている者(以下「工事担任者」という。)に, 当該工事担任者資格者証の種類に応じ,これに係る工事を行わせ, 又は実地に監督させなければならない。」と規定され, 具体的な資格者証の種類,工事範囲,工事担任者に関する事項の詳細については, 省令である工事担任者規則で規定されています。
このため,電気通信事業に関わる企業では, 工事担任者資格を社員に取得させることに積極的であり, 受験を奨励する企業も数多く存在します。 工事担任者資格を有しているかどうかを 就職試験の採用基準のひとつにしている企業もあります。
このような中,資格取得を目指す若手技術者・学生も数多く, 受験者数も年々増加の傾向にありますが, 受験経験者から「知識問題は,過去問をこなして何とかなったが, 『電気通信技術の基礎』の計算問題が難しかった」との感想が多く聞かれます。 そこで,特に「電気通信技術の基礎」を中心に取り上げ,計算例をふんだんに盛り込むことで, 工事担任者試験を取得しようとしている若手技術者が合格できるよう本書を執筆しました。
本書が工事担任者資格を取得できるための一助になれば幸いです。 ぜひ一人でも多くの方々が受験に合格し, 職場での新たなる活躍ができるよう願っています。 ぜひ頑張ってください。
なお,式展開の解説や補足説明等では, 「電気通信主任技術者試験」の「電気通信システム」レベルにも若干踏み込んでいます。 「電気通信主任技術者試験」を受験する前のおさらいとしても利用できます。